こんにちは。本社業務部の小川です。
前回は湯灌(ゆかん)の意味と歴史について説明をさせていただきました。今回は現代の湯灌の流れについて説明させていただきます。
そもそも湯灌は必ず執り行わなければならないのでしょうか?
答えは、基本的に故人様又はご親族様の意向によって決まるので絶対というわけではありません。
また湯灌をやらない・やりたくない人の理由としては1つ目に親戚が集まる中で裸になってしまうのが恥ずかしく生前に故人様が拒否しているケースがあります。2つ目は病院で亡くなった場合看護師がアルコールに浸した脱脂綿で清拭するエンゼルケアが一般的になったことで湯灌をする必要性が考えられなくなったからです。
しかしながら湯灌は宗教的儀式として執り行われており、例えどんな理由があろうと無くなることは決してありません。
では、現在湯灌はどのように行われているのでしょうか。基本的には湯灌を専門とした業者「湯灌師」が必要な道具を取り揃えた湯灌車で伺い執り行います。そして故人様を洗い流し受け止める浴槽「湯舟」は必須であり、持ち運びができる湯舟を使用することで葬儀場だけでなく自宅で湯灌をすることも可能です。またご遺族様・ご親族様のご意向で湯灌立ち会いの参加・不参加を決めることができます。
湯灌の流れを簡易的に説明致します。
1.湯舟の準備
2.死後硬直を防ぐため全身のマッサージをして、タオルをかけて肌が見えないように湯船へと移動させます。
3.湯舟のお湯を使い清めていきます。ご遺族様・ご親族様が参加している場合お湯をかけてもらいます。
4.顔・髪・髭を洗い流し、タオルで拭き取りドライヤーで髪を乾燥させます。
5.シャワーを使い全身を清めます。
6.死装束(仏衣又は神衣)あるいは故人様に着付けて差し上げたいお召し物を着付け、化粧を施していきます。
7.棺へと納棺します。
(この時使われたお湯は除菌処理され、湯灌車の排水タンクへと引き込まれます)
これが湯灌の一般的な流れであり、湯灌師の方々は立ち会われる御家族様にひとつひとつ丁寧に説明の口上を述べながら、1時間から1時間半で終わらせ、御家族様の希望があればより長く時間をかけることができます。
また湯灌では必ず「逆さ水」という「逆さ事」が行われます。
逆さ事とはこの世と死者の住む世界の区別をはっきりさせるため日常で行われていることを逆に行います。その内の一つである「逆さ水」はぬるい水を入れてある桶に熱いお湯を入れ温度調節をすることであり、本来熱いお湯を冷ますためにお水を入れる日常的な行動とは真反対にとることで死という異常事態に対処することができるのです。
是非、湯灌に立ち会う際には注目して見てみてください。
では次回湯灌に関する体験談を元に私が湯灌に対する思いを書かせていただきます。